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第7回 自己実現 [青年期]

 エリクソンは人間が成長する段階を乳児期、幼児期、児童期、学童期、青年期、成人期、壮年期、老年期と分けて、青年期を大人になる準備期間と位置づけました。この期間に「アイデンティティの確立」をするということは、つまり大人になるという意味ととらえられます。ただ、現代の日本では少子高齢化が進み、「モラトリアム」の期間が長くなっていると考えられています。
 例えば結婚して子どもを作る年齢も、少しずつ上がってきており、かつては20代で結婚、出産をするのがあたりまえで、30代で結婚したり、初めての出産をしたりするとかなり遅く感じられたものでした。しかし、現代日本では30歳を過ぎて結婚することも、あるいは子どもをつくることも、それほど遅いとはとらえられていません。
 それどころか30代になってから「自分探しの旅」をする人もいるほどです。そういう意味ではエリクソンの考えた成長の段階も時代によって見方を変えていかなくてはならないでしょう。
 倫理の学習で「青年期」を考えるとき、我々はかなり柔軟にこれをとらえなければならない時代になったのではないかと、僕は考えています。
 さて、アイデンティティを確立……つまり自分自身がどのようなものであるかを見定めたとして、実は人生というものはそこがスタート地点であると考えなければならないでしょう。大人になる準備ができたとしても、大人にはまだなっていないのですから。
 そこでキーワードになるのは「自己実現」です。将来、自分はどのようなものになりたいのか、それを実現するにはどのような行動をとればいいのか、ということです。
 マズローという人は人間の持つ欲求を5つの段階に分け、それぞれに生理的欲求、安全の欲求、所属・愛情の欲求、承認・自尊心の欲求、自己実現の欲求と名付けました。
 生理的欲求が満たされると、自分の身の安全を守りたいと思うようになり、さらにはどこかに所属し愛情を注がれたいと思うようになる。そして他人に認められたりして自分の価値を高めたいと思うようになり、そのためにはそういう欲求を満たすために自分のなりたいものになろうとするということです。
 大金持ちになりたいと思えば、どれくらいの資産を形成したいか具体的な目標を定め、それを達成するにはどのような方法をとればよいか考え、そのための技能や知識を身に着け、そして実行に移す。むろんそれは簡単なことではないし、誰もが自己実現を達成できるとは限りません。しかし、自己実現の欲求をみた人たちはみな自分の人生に価値を見出し、挫折した人は価値を見出せないということになります。ただ、人間というものは欲深い生物ですから、いつまでたっても達成感が得られないということも多いのではないでしょうか。

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