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第4回 第二の誕生 [青年期]

 人間は2度生まれる。
 フランスの思想家ルソーはそう言いました。1度目は生き物として、母親のおなかの中から生まれ出ることをさし、2度目は子どもから大人に成長することをさしています。
 ただ、これは非常に近代的な考え方なのであることに注意してほしいのです。というのも、産業革命以前では、子どもはそれぞれの社会集団の中で子どもとして大人の中で育ち、成人となる儀式を経て、そこからはすぐに一人前の大人扱いをされるものだったから、大人として生まれ変わるとかいう理屈は存在しなかったのです。
 江戸時代、日本の武士の子どもの場合は子どものころは前髪をのばしていて、男の子は「元服」という儀式でその前髪をそり落として名前も「幼名」から正式な名前を与えられました。女の子は稚児髷と呼ばれる髪型から島田髷と呼ばれる髪型に変わり、結婚したら丸髷という髪型に変えました。見た目を変えることによって、その人が子どもか大人かわかるようになっていたのです。
 そこには、子どもから大人になるときに葛藤したり、自分は大人のつもりなのに子ども扱いされると言って怒ったりなどということは起こりません。それはそうです。一目見て、「この人は前髪をそっているから大人だ」と誰からも認められるし、自分もそういう意識を持って行動するようになるからです。
 しかし、近代社会では学校に通いながら、大人なんだか子どもなんだかよくわからないような期間を経て社会に出るようになります。学校に通っているうちに、女性は初潮を迎え、男性には変声期や発毛、精通などが起きて、身体的には大人に成長していきます。「第二次性徴」です。それでも学生の間は社会的には一人前とは認めてもらえず、子ども扱いです。
 そのため、自分の意識のうちに「私は大人である」という自覚が芽生える「第二の誕生」という現象がみられるようになるわけです。
 この「大人なんだか子どもなんだかよくわからない」期間の若者のことを、ドイツの心理学者であるレヴィンは「境界人(マージマル・マン)」と呼び、子ども社会と大人社会の間にいるものだと定義しました。
 この時期、若者の多くは自分を子ども扱いする大人(たいていは親です)に対して大人と認めさせようと、「よい子」であることをやめようとします。これが「第二反抗期」ですね。それまでは学校であったことや友だちのことをすべて親に話していたり、子ども部屋に入られても平気だったのに、この時期になると親と口をきかなくなったり、部屋に入られるのを嫌がったりするようになるという様子が見られるようになることが多いのです。みなさんの場合はどうでしょうか?

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