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第5回 第二反抗期 [青年期]

 前回は「第二次性徴」や「第二反抗期」という言葉を説明なしに使ったけれど、あまりにも無造作すぎたので、ちょっと説明を加えておきます。
 まず「第一次性徴」は、生まれ落ちた時に生物学的にオスかメスかわかるようになっている、ということ。はっきりと言うと、おちんちんがついていたら男の子で、ついてなければ女の子、というのがそれです。それ以外にはほとんど違いはありません。これは生物学的な雌雄であって、この時に脳内の性差が逆になっていたりする人のことをトランスジェンダーといいます。そして、大人になって第二次性徴ができてくると、彼らは戸惑い悩み苦しむことが多いのです。
 次に「第一反抗期」ですが、産まれたばかりの乳児は母親と一体化しているそうですが、2歳から3歳くらいになると自我が芽生えてなんでもかんでもいったんは「嫌」と反抗しだします。いわゆる「だだをこねる」というのがそれです。「第二反抗期」も自我が強くなっていく過程の現象ですから、時期が違うだけで理屈としてはよく似たものかもしれません。
 ただ、第二反抗期は行き過ぎると犯罪行為につながったり、反抗するあまり引きこもってしまったりする場合もあるので、周囲の大人としては対応が難しい。ここをうまく切り抜けると、親の言動にも理解を示すようになり、「お前も大人になったなあ」などと言われるようになるのですね。そのためには社会に出て大人の世界でもまれたり、自分自身が人の親になったりというきっかけが必要になると、僕は思います。以前ここで書いた、大人になってもよい子でいようとする人なんかは、第二反抗期を経ていないこともあるかと思います。
 僕が担任をもった高校の教え子で、高1までは「よい子」だったのに、高2になってアルバイトを始めると、夜更かしをしたり遅くまで恋人といっしょにいたりするようになって、突然親の言うことも担任である僕の言うことも耳に入らなくなりました。母親と話をしているうちに、その生徒は中学時代に第二反抗期を経ていないことがわかりました。
 第二反抗期が遅く来ると、その行動に責任がともなうようになるので、反社会的なことにつながる場合もあります。できれば第二反抗期は中学生くらいですませておいたほうが害が少ないのではないかなどというのが、僕の教師生活から得た教訓です。
 第二反抗期を過ぎると、子どもは大人といくぶん対等な関係を持とうとするようになります。もっとも、いつまでも子どもには子どものままでいてほしい親もいたりして、対等の関係であることを認めたくないという心理が働いたりもするようです。僕と父の間には、かなり長い間そういう葛藤があり、父は死の直前まで僕のことを独立した大人と認められなかったのではないかと疑っています。
 なかなか教科書に書いてある通りの人間的成長なんてないと、僕は思っています。

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