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第3回 「青年期」について考える [青年期]

 さて、ここからいよいよ本題に入っていきます。
 最初に扱うのは「青年期」です。ここでの目的は、高校生の時期の心理をみなさん自身の問題としてとらえてもらおうというものです。
 実は、これは非常にやっかいなものなのです。
 人は、一人一人が性格も成長速度も違います。小学生の段階で反抗期を迎える人もいれば、反抗期を経験せずに大人になり、社会に出てから壁にぶち当たる人もいますし、壁をうまくすり抜けて精神的には中学生とかわらないまま、何食わぬ顔で大人の世界で生きていく人もいます。
 多様な人々の心理を、まとめて「青年期」と切り取ってしまうことは危険な面をはらんでいます。精神的に成熟したいわゆる「大人びた」生徒には、これから説明することは小学校時代に経験したものであるでしょうし、いつまでも「よい子」のまま高校生になってしまいそのことに何の疑いも持たない生徒には、何のことかさっぱりわからなかったりするでしょう。
 現代では「発達障がい」と呼ばれる人が多くいます。精神的な成長にでこぼこがあり、ある部分では老人のようであったり、ある部分では幼児のようであったりします。育児放棄(ネグレクト)のために「愛着障がい」と呼ばれる非常にかたよった成長の仕方で高校生になった生徒もいます。
 僕は知的障がいの特別支援学校に9年間勤務し、次に転勤した学校では知的障がい児の自立支援コースが設けられていて、一般の高校生と障がいのある生徒との共生教育というものを3年間担当したこともあります。
 そういう経験があると、すべての若者が同じように「青年期」を過ごすとは限らないことを実感することになります。
 だから、このブログでは“多数の若者が経験する”「青年期」という非常に大雑把なくくりでみなさんに説明しなければならないということを心にとどめておいてください。
 先ほど「反抗期」という言葉を何の説明もなく使いましたが、大人の言動に対していちいちつっかかってしまうような時期を通り過ぎて、人は成熟していくのだという考え方があるということを前提に使っています。その場合、「反抗期」という言葉は自分ではもう大人のつもりなのにいつまでも子ども扱いされることへのいらだちが前面に出てくる時期があるということが前提になってきます。
 しかし、子どものころから豊かな才能をもち、周囲に大人扱いされて育った人にはあてはまらない。「青年期」のやっかいさをわかってもらえたでしょうか。

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