SSブログ

第9回 コミュニケーション [青年期]

 2020年に始まった新型コロナウイルス感染症の流行は、それまで常識であったことを覆していきました。特に問題になったのは、人との距離です。「ソーシャル・ディスタンス」と呼ばれる一定の距離を置いて接しないと、「密」の状態になって飛沫感染が起こりやすいとされ、西洋式の挨拶である握手やハグはもちろん、手と手を軽くタッチさせることすら批判の対象になってしまいました。
 多人数での会食が制限され、狭い部屋にに多くの人数で集まることもできなくなりました。直接会って話をするのではなく、カメラとマイクを使って離れたところで会議をしたりという働き方が普通になった職場もあります。
 制限が緩むと、家にじっとしていられない人たちはすぐに外出するようになりました。彼らは常に人と交わっていないと不安になるし、活動が制限されるといらいらしてしまうのです。
 逆に、家にじっとしていて人と会わないでいても平気な人もいます。不要不急の外出は控えましょうと言われる前からあまり外出しない人たちです。僕もあまりアクティブな方ではありませんから、一人でいてもあまり孤独だと感じたりはしません。まったく誰とも接触がないと寂しくはなりますが。だから町へ出て人と会おうとかいうようにはなりません。
 僕の場合、何年間かひとり部屋で仕事をしていたことがあります。むろん授業もあるし、用事があれば職員室に行って人と話をしたりもしますが、ほとんど部屋にこもりきりの場合もありました。CDをかけて常に大好きなクラシックを聴きながら仕事をしていれば、それでもよかったのです。
 ところが、そのあと3人部屋で仕事をすることになりました。あとの二人は女性で、しかもぼくとは20歳以上も年が離れていました。二人が楽しそうに話をしていても、その中に入っていけません。僕の得意な分野の話題をしていたので話に割りこんだことがありますが、二人とも困惑してしまっているようでした。ついにはほとんどその二人とは仕事以外で話をすることがなくなりました。
 僕はその時、ひとり部屋では感じたことのない深い孤独感を味わいました。つまり、いい形でのコミュニケーションをとらないと、人は孤独になってしまうということです。僕は人とのコミュニケーションをとるのがあまり得意ではないので、よけいにそれを感じます。
 コミュニケーションのとり方が攻撃的になってくると、暴力行為やいじめにつながったりもします。ほんとにコミュニケーションというのは難しい。
 孤独感を味わい、そこから脱出するためにコミュニケーション能力を高めていくのも、青年期ならではの成長の仕方といえるかもしれませんね。

nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:学校

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

Facebook コメント

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。