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第13回 ソクラテス 1 [古代ギリシア]

 さて、今回からは古今東西の哲学や思想をご紹介していくことになります。一応学校の教科書をベースに書いていきますが、僕独自の解釈も加わってきますので、なんでも鵜呑みにせず自分の頭で考えながら読んでいただければと思います。
 それにしても、古代ギリシアの哲学者たちは幸せだなあと思います。なぜなら、自分たちの書いたことや語ったことが、後世の人たちにちゃんと読んでもらえるのですから。ギリシア語が滅びず、また彼らの考えを後にその地を支配したムスリムたちが尊重したから、僕も現在このようにソクラテスやプラトンやアリストテレスのことを書くことができるのですから。
 文字が発見されていても、解読してもらえないでいるものもあります。もしかしたらものすごいことが書いてあるかもしれないけれど、その文化が途絶えて伝える人たちが滅びてしまったために、我々にはわからないままだということなのです。
 もし、現在の人類が滅亡し、新たな人類に代わるものが進化して地球全体に広がったとします。その新しい人類は私たちの膨大な遺産を発掘しますが、言語を解読することができません。したがって、彼らにとっては、我々は「なんだかすごい文明を持っていたらしいけれどよくわからない先住人類」でしかありません。
 ギリシア哲学はそんな目に合わずにすみました。ギリシア語は生きたまま後世に残り、哲学者たちの考えたことはキリスト教徒やムスリムによって研究、保存されました。やがて世界中の言語に翻訳されるようになり、彼らの著書は時代的にも地理的にも大きく離れた現代日本という名の島国でも読むことができます。
 一番幸福なのは、ソクラテスでしょう。彼は自分ではなにも書き残していません。しかし弟子のプラトンによってその言葉は後世に残されました。しかも、彼に心酔していた弟子が書いたのです。悪いようには書きません。彼は「よく生きる」という自分の信念を貫いて、あえて死刑を受け入れた偉大な人物、ということになっています。
 でも、僕はへそ曲がりなので、そういった記述も別の視点で見てしまいます。
 ソクラテスは紀元前の人物です。その当時のギリシアはポリスと呼ばれる小さな都市国家が数多く乱立していて、彼はそのうちのアテナイというポリスに住んでいました。
 ここで忘れてはならないのが、当時の人口は現代と比べると格段に少なかったということです。それと、自由民と奴隷という階級があるということも頭に置いておいてほしいのです。奴隷というと足に鎖かなんかをつけて過酷な労働に駆り出されるイメージがありますが、この奴隷たちはいわば給料のない使用人という感じだと考えてもらえばいいでしょう。

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